情報や物が溢れるこの時代に、計画を立て、順序立てて考えるということは大変なことで、ましてやそれを計画通り実行に移すとなると更に大変な作業となります。私たちガーデンデザイナーの仕事の中で重要な責務のひとつが、庭を取り巻く環境や物事を順序立てて考えて差し上げるということです。そのためには、どういう庭にするのか決める前から「好きだから、今買わないとなくなるから」とどんどん買い物をしてくるクライアントに、買い物を控えて頂くこともあります。様々な要素を考え、デザインができて初めて、そのデザインを作るための買い物作業が始まるということを理解して頂くことから始まります。デザインというフレームができると、今買いたいこの花やこのオーナメントはこのデザインに合うのだろうか、合わないのだろうかと、買い物をするためのガイドラインができ、無駄な買い物がぐっと減ってくるのです。こうして庭を作っていく上で、クライアントのみなさんはガーデンデザイナーと共に順序立てて考えるという姿勢を確立していきます。
ところが、この作業は、決して庭を作る時だけのことではないのです。庭が完成し、維持管理するという段階でも同じように順序立てて考えるという作業が必要となってきます。例えば、冬から早春の庭はいつも花がなくて寂しい、春になっても植物に元気がない、毎年梅雨時期に虫が発生し消毒してもまた雨に流されてしまう、などという経験はありませんか。そして毎回その度に対応策を考えていませんか。これらは順序立てて対処してゆくと、大半は解決していく内容です。ガーデンデザイナーやガーデナーと共に年間ベースで維持管理を計画してみて下さい。そうすると、早春のための秋の球根を植えるタイミング、春に大輪の花を咲かせる冬の堆肥を与えるタイミング、虫が発生する前に予防消毒をするタイミングなど、その年、その月にやるべきことがひとつずつクリアになっていき、その結果、毎日やるべきことが分かってきます。そして忘れてならないのが何よりも「観察」です。せっかく順序立てて考えても、毎日の作業の中に観察を入れ忘れると、その計画は机上の空論となってしまう恐れがあります。1匹の虫が100匹になり、ひとシーズンだめにするということがないように、庭が出来た後も順序立てて考え、毎日の観察で更に効果をあげるという態勢を作っていきたいものです。 |